Cantabile

アクセスカウンタ

zoom RSS 不愉快な作品「のぼうの城」

<<   作成日時 : 2015/05/23 19:18   >>

ブログ気持玉 0 / トラックバック 0 / コメント 0

今更「のぼうの城」という小説を持ち出すのもどうかと思うが、
たまたまブックオフで見かけたので。
一言でいえば、「不愉快な作品」というのに尽きる。
全てが無茶苦茶であり、どこから突っ込んでいいのやら。
城代や侍にあんな態度とる百姓がいるか。

何が不愉快かというと、この作者は結局戦国における後方支援という
役割、奉行という役割を馬鹿にしているということが透けて見えるからであろう。
三成、長束正家の酷い描かれ方にそれが現れている。

三成は、一見意外にも良さげに描かれているように見える。
が、ただの浅はかな中二病になっている。
こんな人物設定にしてそれで良く描いたつもりになっているところに
この作者のしょうもない考え方がよく分かる。

関白の威光を笠に大軍を率いながら、
兵力が劣る相手が簡単に降伏するのが面白くないとか、
大きいことがしたいから水攻めをしたとか、無茶苦茶である。
そんな馬鹿がいるか。頭がおかしい異常者である。
そんな下らない挑発に乗る主人公のぼうはただのアホである。

その流れで関ヶ原の合戦まで、ただ大きいことがしたかったから
みたいなことになっている。
そんな奴に誰がついて行くか。

敵側の総大将をただの小物に描いたら主人公側が引き立たないため、
気を遣った描き方はしてある。
また公文書から三成は民を酷く扱わなかったり、垣間見える一本気な性格を
作者は好ましく思っている様子は伝わる。
しかし水攻めを三成の発案としてしまったために、どうしても中二病的な
人物像になってしまうのは避けられなかったようだ。

秀吉が三成に武功をとらせたいから忍城攻めを命じたというのも変だ。
兵力差が圧倒的なのに勝ったからと言って大した武功になるとも思えない。
というかなんで武功をとらせる必要があるのか。
そういうことでない部分で秀吉は三成を評価していたのではなかったか。
大した武功がないから三成を他の武将が低く見ているというのは
たまに言われることだけど、そんな証拠があるのか。

三成自身が自分の仕事に誇りを持っていない様子なのはどうなのか。
多少のコンプレックスはたしかにあったかもしれないし、
それが時に居丈高な態度に繋がってしまったこともあったかもしれないけど、
近江人としての誇りもあったはずである。

そもそも水攻めは三成の発案ではない。
それを示す文書もあり、これは今では広く知られているはずだ。
勝手にあんな浪費してあのざまだったなら、無事じゃすまないはずだが、
特に咎められた様子はなかったと思う。
というか、あんな勝手に浪費できる立場になかったはずで、それも水攻めは
三成発案ではないと言われる理由の一つになっている。

しかしそれより不愉快度がもっとも高かったのは
長束正家の描き方である。
これには本人も泣くであろう。
軍使もできないロクデナシになっている。
後に五奉行の一人にまでなるというのに、豊臣政権はそんなにも
人材がいなかったのであろうか。
ここまで彼を酷く描かなければいけない理由が分からない。
計算が得意=矮小化みたいな印象で、飛躍しすぎかもしれないが
キリスト教徒が銭勘定が得意なユダヤ人を矮小化して描いたのを連想してしまいました。

長束正家は、奉行で数少ない(というか唯一?)最後まで三成を裏切らなかった人だったと思う。
関ヶ原で動けなかったのは吉川広家のせいでしょうし、
一族もろとも悲惨な末路をたどったというのにこの扱い。
強きに阿り弱気をいたぶるって、それは作者に言いたい。
もうなんら弁明もできない過去の実在の人物をこんな風に描いたのだから。

なぜ長束正家をしょうもない小物に、三成をただの中二病に描いたのか。
やはり華々しく戦う猛将が偉くて、官僚タイプを馬鹿にしてるからとしか思えない。

豊臣軍トリオのもう一人、大谷吉継はまったくの役立たずになっている。
秀吉に佐吉を頼むみたいなこと言われていた割に、三成の暴走に
なす術なし。ただブチブチ文句言ってるだけ。
病気さえなければ相当出世したであろうと言われている人物なのに。
こんな連中が重臣で、よく天下人になれましたねー。

ついでに映画は、野村萬斎さんはやはりさすがですね。
三成の上地雄輔さん、意外に上手かった。
長束正家は、名前忘れてしまいましたが役者さんなかなかいい味出してたので
原作の酷さは若干薄れてはいたものの、やはり気の毒な描かれ方でした。
大谷吉継は・・・・
山田さんは本来は非常に上手い役者さんだと思うのですが、
なんかやる気なさそうに見えたのですが。
あと、水攻めってあんなんじゃねえよという見解も多数。

軍記もの等をもとに創作したフィクションエンターティメントという触れ込みなら
まあともかくとして、問題なのは宣伝に史実という言葉が頻繁に使われていたこと。
原作は、出典元がよく出てくるが、ほとんどが「成田記」等の軍記もの。
つまりこの作者は、軍記ものを史実と思っているわけである。
いちいち出典元が書いてあるのは良心的といえなくもないが、
そのせいで本当に史実なんだと思ってしまう読者も多いだろう。
しかしこの作品で史実部分を探す方が難しいと思う。

このこの時は圧倒的軍勢で臨んだ豊臣軍トリオの関ヶ原の合戦で散った顛末を思うと感慨深いものもあるけど、
そこまでつなげて描いているわけでもない。

小説や映画、ドラマの影響力は大きい。
忍城攻めの間違ったイメージを世間に植え付けた本作の罪は深いと思う。
のぼうの城
小学館
和田 竜

amazon.co.jpで買う
Amazonアソシエイト by のぼうの城 の詳しい情報を見る / ウェブリブログ商品ポータル


テーマ

関連テーマ 一覧


月別リンク

ブログ気持玉

クリックして気持ちを伝えよう!
ログインしてクリックすれば、自分のブログへのリンクが付きます。
→ログインへ

トラックバック(0件)

タイトル (本文) ブログ名/日時

トラックバック用URL help


自分のブログにトラックバック記事作成(会員用) help

タイトル
本 文

コメント(0件)

内 容 ニックネーム/日時

コメントする help

ニックネーム
本 文
不愉快な作品「のぼうの城」 Cantabile/BIGLOBEウェブリブログ
文字サイズ:       閉じる